未完成の夜

未完成な夜

僕達は 幾度も泣いた

情緒不安定な僕の赤は

幸せは何時訪れるのかと

冷たい此の体が何時温まるのかと

救いようが無い現実に 泣いてばかりで

見抜けないのは何時だって明るい未来

黒の感情に溺れて 僕達が

抜け出せなかった あの日々は

きっと 神様が与えた試練だったのね

貴方を愛すことはまるで自殺行為

不幸な事にしか気づけない僕は

いつも暖かな安息の地を求めて

立てないふりをして

血をはくふりをして

泣いていたっけ

貴方が僕に手を差し伸べてくれるまで

どんな手を使ってでも 振り向かせて

貴方を 幾度となく 困らせたっけ

其れは今も変わらない 僕の悪い癖なのかもね

痛い事には慣れているの

恐い事だって慣れているわ

寂しい事だって辛い事だって絶望感だって

僕にとって其れは毎日だったから

だけど

愛される事や 大切にされる事

触れられる事や 見つめられる事

褒められる事や 僕の為に沢山の涙を流してくれる事

そんな事 絵本の中だけの 話だと想っていたの

なのに 貴方は悉く破ってくれました

僕の中に有る 常識 全てを。

だからなのかな

自分自身さえも救えない僕が

初めて 人を護りたいと想った

自分の命をも 貴方に捧げたいと想った


未完成な夜

僕と 貴方は 手探りでお互いを確かめ合い

結ばれた

未完成な夜

僕は 生まれて初めて 愛されるということを

知ったんだ。